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家元・次期家元

2014年10月09日更新

池坊由紀エッセイ|Vol.35 施福寺での献華

池坊由紀連載エッセイ こころのままに。

先週の日曜、槙尾山施福寺の献華に行ってきました。お天気が危ぶまれたのですが、幸い晴れ。京都から一時間半ほどかけてお寺の入り口へと到着です。山道を歩くので歩きやすい靴をと言われていましたが、ちょっと自分の脚力を過信していたかもしれません。実際歩き始めると、最初の幅広の石段でどっと疲れが、、、
すれ違う人から「ここで疲れすぎて、花がいけられなくなると大変ですよ。ゆっくり行ってください」と励まされ、また毎日この山道を行き来しているという男性に先導していただき、再び歩き始めました。

最初疲れたと思っていた石段ですが、少しずつ身体も歩きモードに入っていったのか、山道は周りの風景も楽しみつつ、爽やかな思いで疲れ知らずで(といっても途中2度ほど休憩しましたが)歩き、本堂に着くことができました。その山道の自然の、なんと気持ちよく、そして可憐な花たちが沢山咲いていたこと!いつも色々な植物を目にしていますが、栽培種と野生では全く趣が異なります。野生のは決して立派ではありませんが、茎も風や雨に打たれ、曲がったり細かったり、花もささやかで本当に控えめですが、その自然に生きる強さ、しなやかさ、愛しさを感じます。

そうしてたどり着いた本堂での献華は、仏前供花から始まる原初の形 たてはなにしました。たてはなは決して華やかで、技巧に富んだ姿ではありませんが、だからこそ、その素朴な姿の中に一木一草に思いを寄せた昔の考えが映し出されているように感じられます。ちょうど山道で色々な草花を見てきたところだったので、その草花の姿とも重なり合い、落ち着いて臨むことができました。

施福寺は、役小角が自ら書写した法華経を葛城山の各所に埋納し、最後に埋めたのがこの山であったことから巻尾山(槇尾山)の名がついたという由来を持つ天台宗のお寺です。また弘法大師が20歳の時、同寺において出家剃髪し、沙弥戒を受けたといういわれもあります。観光地というよりは、周囲が広大な山に囲まれているせいか、自然の中のお参りのお寺という雰囲気が漂います。そしてなんといってもご住職の博識なこと。古代史に造詣深く、過去から現在、そしてこれからへと歴史的経緯を踏まえ、色々なお話をしてくださいました。春には桜も美しいとか。皆様、ぜひお参りにいらっしゃってください。

最古の花伝書には、器に挿された一枝一枝に願いを込めた文言が描かれています。昔から仏様に対して、花を通して安全や平和、健康を願う気持ちは変わらなかったのでしょう。最近は御嶽山噴火や台風による被害など、辛いニュースが絶えません。東日本大震災の慰霊と復興祈願で始まった三十三ヶ所献華です。既にこれまで二十五ヶ寺まわることができました。しかしながら、東北は一見活力を取り戻したかのように見えても、またこうして新たな被害が出ていることを思うと、三十三ヶ寺という区切りはあっても、献華に対する気持ちには終わりがないのだということを実感します。

この世の皆さんが、明るい気持ちで花を見つめ、花をきれいだと感じることのできる日が来ることを願います。

施福寺献華

緑爽やかな中を、どんどんと歩いていきます。

施福寺献華

石段を登ってたどり着いたと思いきや、ここからがスタート。

施福寺献華

依代に相当するそうです。材木はもみの木か松だそう。

施福寺献華

しゃがが沢山。立花には欠かせません!

    
施福寺献華

こんなにやさしい花たちも。

施福寺献華

桜の枝が折れているのですが、生きています。こうして葉が茂り、紅葉していくのです。

     
施福寺献華

秋海棠。こんなに葉が大きくなっています。

施福寺献華

花たでとほととぎす。ほととぎすの色が淡くて素敵です。

     
施福寺献華

つゆくさもちらほらと。

施福寺献華

いつもご一緒にお参りをしてくださいます。ありがとうございます。

     
施福寺献華

お堂の中はとても静かです。

施福寺献華

今回の花材はシラビソ、木瓜、竜胆など。

    
施福寺献華

御住職と支部の皆さんと最後に記念撮影。皆さま、ありがとうございました。

施福寺献華

ユリもありました。たおやかな表情です。

     
施福寺献華

玉シダ発見。これも立花には欠かせません。

施福寺献華

こんなユリも。

     
施福寺献華

これは何の花でしょうか。小さくても存在感がありますね。

施福寺献華

切り倒された木。これは休憩するときにぴったり。椅子代わりになっています。木肌はだからつるつるです。

    
施福寺献華

ちょうど見頃。

施福寺献華

実はここは弘法大師が剃髪出家なさったところなのです。

     
施福寺献華

こうやって転ばぬ先の杖!

施福寺献華

うばゆりでしょうか。

     
施福寺献華

秋明菊。淡いピンク。

施福寺献華

そしてこんなのも。また色濃いのも可愛らしいですね。

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