四季の花図鑑  花暦

1月の花  万年青[オモト/おもと]

一月|睦月

万年青[オモト/おもと]

縁起の良い植物

由来

東北地方以南の本州、四国、九州の林の下の陰地に自生する常緑多年草で、日本独自の園芸植物として江戸時代以降多くの園芸品種が作られました。粗い根を付けた太い根茎から披針形、または倒披針形の葉を叢生します。

名前の由来は、「大本(おおもと)」の意味で、その大きな株を表現したものと言われています。「万年青」の漢字は漢名からで、冬でも常に色を変えないことからきています。

特徴

万年青は、年々新しく生まれる葉が高く伸び上がるにつれ、旧葉は垂れ下がります。晩春に葉の間から短い花茎が出て、その先に黄色の花が密生します。その花の後に真っ赤な実をつけます。

鉢植え、庭植え、生け花と、縁起の良い植物として親しまれ、変化に富む葉の姿を楽しみます。葉の大きさによって小葉、中葉、大葉系に大別され、葉の紋様によって細分されます。愛好家によって多数の品種が栽培され、秋から冬にかけて各地で展示会が開催されています。

ひとことメモ

池坊の生け花では、「万年青」の名前のように枯れることなく緑葉が青々と、相続して生育する姿を人生のあり方に照らし合わせ、めでたいものとして、祝儀の花の扱いにしています。

池坊では本来、実物は祝儀の席には用いないことになっていますが、万年青は特別に用いて良いものとされています。生け方も特殊で、「石穴」という丸く穴をあけた石の花留めで万年青を生けます。

万年青の生花

四季を楽しむ豆知識

引っ越し万年青

人はよく縁起を担ぎます。ちょっとした物事に対して、良い前兆だとか、悪い前兆だとかを気にし、良い結果が出るように以前に良い結果が出た行為と同じことをして、幸運がもたらされることを信じてきました。

万年青は、室町時代より栽培されていましたが、当時は観賞用でなく、薬用として用いられていました。江戸時代になり観賞用の園芸品種として、めでたい植物、不老長寿の縁起のよい植物といわれ広く栽培されるようになりました。

有名な古事として、慶長11年(1606年)、徳川家康が江戸城に移る際、愛知県三河の国長江村の長島長兵衛が、万年青を献上しました。家康は万年青の四季を通じて変わらない常緑の姿を見て、我家の家運もこのようにありたいと大喜びしたと言われています。

万年青で縁起を担いだおかげで、徳川300年の繁栄が築かれたかどうかわかりませんが、「引っ越し万年青」と称して引っ越しの際に吉日を選んで、まず万年青の鉢を最初に移す習慣が今日まで続いているのは、このようなことに関連があるのではないでしょうか。