四季の花図鑑  花暦

7月の花  檜扇[ヒオウギ/ひおうぎ]

七月|文月

檜扇[ヒオウギ/ひおうぎ]

勢いのある夏の代表的な植物

由来

アヤメ科の植物で、肉厚で幅が広く、剣状の葉が左右に扇を開いたようにつく姿が、公家の手にしていた「檜扇」に似ていたためこの名前がつきました。日本では切り花用で栽培されることが多く、自然に咲いているものはほとんど見かけることはありません。

檜扇は葉が特徴的ですが、花は草丈約1mで2・3枝分かれした枝先に、オレンジ色に赤色の斑点の入る花をつけます。

特徴

花はつぎつぎと開き、水揚げもよく、勢いのある夏の代表的な植物です。葉が細く、花首が長く伸び立つ鶴首檜扇、葉の幅が広く、花首があまり伸びない達磨檜扇など、姿の違いで趣きに変化がでます。

また、葉や花だけでなく、花が枯れた後の緑色の果実、熟してその果実がはじけて球形で艶やかな黒い種子など見どころが多いです。

ひとことメモ

池坊では、伝統的な花材の一つで、立花が成立した時代から葉と花の姿を生かして用いられました。現代でも多くの花形に用いられていますが、葉つきの姿を生かすのが第一とし、整ったものより、ねじれや反りの見られるものを選んだ方が、生けたときに趣きに変化がでて、全体の調和も取りやすいです。

檜扇の生花

四季を楽しむ豆知識

祇園祭の花「檜扇」

京都で祇園祭に来られた方は、この時季檜扇が飾られているのをよく見かけられると思います。京都では、檜扇は祇園祭の花といっても過言ではありません。

檜扇(ヒオウギ)の名前の由来は、平安時代初期に京都で作られ、主に宮中の男性の持ち物であった「檜扇(ヒノキの薄板をつなぎ合わせて作った扇)」に、葉の部分がその檜扇を開いた姿に似ていることから、この名前がついたと言われています。
祇園祭のころは黄色の花が咲きますが、咲き終わると黒い実がつきます。

この黒い実は、「射干玉(ぬばたま、もしくは うばたま)」と呼ばれ、

「ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木生(ひさぎお)ふる清き川原に 千鳥しば鳴く」
(山部赤人  万葉集)

「ぬばたまの 夜さり来れば 巻向(まきむく)の 川音(かはと)高しも 嵐かも疾(と)き」
(万葉集)

と、「ぬばたまの」は黒に関連のある「夜・夕・髪」などにかかる枕詞(まくらことば)として用いられています。

また、この黒い実は「黒い実=魔よけ」ということで、魔よけ・厄よけのシンボルとされています。もともと、祇園祭は邪気を追い払うために始められたので、お花一つとってもいろいろな意味がありますね。

うばたま