自由花(じゆうか)

定まった型はなく、草木の形状や質感にも目を向けながら文字通り自由にいける様式で、
幅広い表現が可能です。

自由花(じゆうか)

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定まった型はなく、草木の形状や質感にも目を向けながら文字通り自由にいける様式で、幅広い表現が可能です。

近年いけばなは、住空間の中で楽しむだけでなく、イベント空間・ステージ・ショーウインドーなどを演出するディスプレイとしても活用されるようになりました。約束事にこだわらず自由な形をつくることのできる自由花は、これまで立花や生花が想定してきた床の間とは異なる空間やシチュエーションに花を飾るための新しいいけばなとして、活躍の場を広げています。

自由花の特徴は、草木の美を様々な観点から見出し、文字通り自由にいける型のないいけばなです。床の間という空間に縛られることなく、あらゆる空間・シチュエーションのいけばなとして、人気を博しています。
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自由花が誕生した背景

建築様式の変遷に応じ、いけばなは様々な様式を生みだしてきました。

大正から昭和かけて西洋風の建築様式が普及すると、床の間に置かれた立花や生花に代わり、玄関先やテーブルの上などに置くいけばな、投入(なげいれ)・盛花(もりばな)が流行。
さらには既成の型を持たない「自由花(じゆうか)」へと発展しました。

自由花の歴史

投入・盛花(なげいれ・もりばな) 明治の文明開化以降、生活様式の変化に伴い、従来の立花や生花に加えて投入壷にいける「投入」、水盤にいける「盛花」と呼ばれる新たないけばなの様式が誕生しました。
池坊では投入・盛花を、立花や生花を応用したいけばなと位置付け、当初は「応用花」と称していました。現在、投入・盛花は自由花の表現様式のひとつとなっています。
住空間の西洋化 高度経済成長とともに、日本人の住空間やライフスタイルは大きく変化しました。住居の西洋化や和室のしつらえの多様化にともない、花を飾る場所や眺める視点の高さなどに変化が起こりました。こうした空間に合う花として自由花が求められたのです。
洋花の普及 近年、流通機構の進化や栽培技術の発達により、様々な洋花が出回るようになりました。和花にはなかった色彩や形、異なる文化的背景をもつ洋花の流通は、いけばなの世界に新たな息吹を与えました。
個性尊重の時代 自由花では草木を純粋に創作の素材と捉え、モビールやレリーフといった形にも制作されます。このような草木のアートとしての捉え方から、従来とは異なる新しいいけばなの世界が広がっています。
  • 応用花 池坊専威
    応用花 池坊専威 (「華道」昭和26年5月号掲載)
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