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2015.04.30

池坊由紀エッセイ|Vol.40 101年目の支部を訪ねて

池坊由紀連載エッセイ こころのままに。

週末は飯塚へ行きました。博多から車で約1時間。華道家元池坊の飯塚橘支部は、この地で100年の歴史を紡いできました。そして今日は、101年目の新しい出発の日。支部長先生をはじめ、支部員の皆様が日々活動されている成果を拝見するのが楽しみです。
今回は「花子とアン」で登場した、炭鉱王 伊藤伝右衛門邸に新風体をいけるという企画です。いけばな展で会場として多く使用されるホテルや百貨店とは、異なる場の雰囲気・力と、いけばな作品とのコラボレーションも見せ場です。

今回、印象的だったのは、みなさんがとてもイキイキとお元気だったこと。支部長先生のリーダーシップや実行力、そして参加された方がこの機会を“いけたい”“たのしい”“うれしい”と思っていらっしゃることが、いろいろな場でふつふつと滲み出ているかのようでした。東京一極集中。それに伴い地方の疲弊化が問題となり、地方創生が最近の大きなテーマとなっています。
けれども、こうしてそれぞれの地域で幅広い年代の方々が、おひとりおひとりいけばなに打ち込む、そしてそこにコミュニティーが生まれ、またその成果を披露することで、その地域の方々に潤いややすらぎが育まれる。これこそ地方の活性化であり、地域再生ではないでしょうか。新しい事業を立ち上げたり、また空き地となっているところに店舗を作るなどしての再生も、もちろん素晴らしいことです。と共に、こうして昔から続いている文化の営みも、十分にその役割を担い果たしているのではないかという思いを抱きました。

飯塚橘支部花展

中山濱子先生の御挨拶。御年84歳。打てば響く頭の回転の速さと行動力。今回の花展を引っ張ってこられました。

飯塚橘支部花展

伊藤伝右衛門の特別展。「花子とアン」はあまり観ていなかったので、勉強になりました。その頃の飯塚の社会状況、経済の様子も分かります。

飯塚橘支部花展

お庭には春のかわいらしい色の花々が・・・

飯塚橘支部花展

支部の方々と記念撮影。この門は昭和2年に銅御殿が焼けた際に、幸いにも焼失を免れ移築されたそうです。それまで邸宅には門はなかったのだそう。伝右衛門・蓮子のいた頃は、なかったということなのですね。

    
飯塚橘支部花展

市長様、麻生副総理夫人にも、テープカットに御参加いただきました。

飯塚橘支部花展

重厚な応接間に、ダイナミックな枝ぶりをいかした作品が・・・薄暗い照明の中、いけばなが迫力をもって、存在感を示しています。

     
飯塚橘支部花展

床の間に軸を挟んでの新風体。どちらも線の扱いが端正で、すがすがしいですね。

飯塚橘支部花展

大きな食堂のところに、小品の自由花。庭の緑が借景に色が映えます。

     
飯塚橘支部花展

飛んでいる蝶の絵に合わせて、ダイナミックな枝ぶりのこでまり。心まで大きく、伸びやかになりそうです。

飯塚橘支部花展

棚の上下それぞれにいける難しさ、趣は異なりますが、一作ずつ見ても、こうして共に見ても見応えがあります。

     
飯塚橘支部花展

美しく手入れされたお庭。見学中もずっと作業されている方が。植物は日々成長、お手入れは尽きることがありません。

飯塚橘支部花展

近畿大学付属福岡高等学校バトン部のダンス。躍動感たっぷり、白と黒にネクタイ姿もかっこよかったです。

     
飯塚橘支部花展

そして福岡県立嘉穂東高等学校の吹奏楽。「花子とアン」のテーマ曲など、馴染みある曲も演奏してくれました。

飯塚橘支部花展

若い両校の生徒さんの演奏やダンスに負けないくらい情熱的な・・・こちらは飯塚橘支部のみなさまのカルメン。支部長先生はカラヤンとして総指揮。口にくわえた一輪の赤いバラがいけばなへの熱い思いを象徴しているかのよう。

     
飯塚橘支部花展

エプロン姿にフライパンが楽器に。はたきもリズムを取るのに役立っています。

飯塚橘支部花展

三つ編みの乙女は、中山支部長です。

     
飯塚橘支部花展

穏やかな笑顔・・・支部の方、そして福岡からお祝いにみえた他の支部の先生方も、心温まるひとときを持つことができました。

     
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