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家元・次期家元

2014年5月15日更新

池坊由紀エッセイ|Vol.31 西国三十三ヶ所第7番札所 岡寺での献華

池坊由紀連載エッセイ こころのままに。

花の季節は過ぎ、緑の美しい頃です。緑も淡い緑から白っぽいマットな緑、そして深い緑とあり、そのこまやかな異なりはとても表情豊かで、心を落ち着かせてくれます。

第七番札所 岡寺に献華に行って来ました。ちょうど大阪花展の最中でした。それからゴールデンウィークもありましたので、今頃と思われる方もいらっしゃるかもしれません。献華の行事は、私にとってはいつもとても大切なことで、その前後が出張などで慌しくても決して雑にならないように、心を整えて取り組むようにしています。

実は岡寺、こうして献華に伺えるのも大きなことですが、それに付け加えて思い出多いところであります。今から二十度年ほど前。というと、なんと昔のことのように感じられるのでしょう。私が大学生の頃です。と書いてしまいましたので、しっかりと年齢もばれ、やはり昔のことだということになってしまいますが・・・(笑)

大学の所属している科で研修旅行があり、京都・奈良を巡っていました。冬の寒い中、一日にいくつものお寺をまわり拝観し、お坊さまのお話を伺い宿に戻るという日を一週間ほど過ごしていました。もちろん底冷えし、周囲の自然の木々は葉を落とし、観光客もほとんど見当たらず閑散としておりました。岡寺への道は登りの山道で、明日香村にあるせいか周囲に現実を想起させる建物もなく、その細い山道を友人と登っていきました。お寺を見せていただいたあとは、帰りにお寺のすぐ横にある茶店へ。茶店といっても、今は待ちにあってもおかしくないような、しゃれた喫茶店も多いのですが、そこはまさに茶店という表現がぴったりの素朴なお店でした。散々寒い中を歩いて必死に観ていたあとに、茶店でわらびもちと温かいお茶を頂いたときは、この上もなく美味しく幸せに感じられたことを思い出します。境内のことよりも、なぜかこちらの方が印象に残っているのですから、私も現実的なものです。

また、この研修旅行はそれだけ長い間、一緒に学科の友人たちとたくさんのお寺を巡ったということで、私にとって忘れられない旅のひとつとなりました。けれどもそれから早くも四半世紀!京都に住んでいながら岡寺に行く機会に恵まれず、明日香村には2~3度域、石舞台を見たり泊ったりしたものの、そこまででした。この度の献華で伺うと、その時と違って木々の緑や花々の美しいこと。シャガや山吹、牡丹・石楠花などが輝くほどに咲き誇っています。岩には私の大好きな苔がむし、木々も葉を茂らせてエネルギーに圧倒されそうでした。そしてこんなにも境内が広かったのかと驚くほど。丘を登ると、上から本堂の全貌を眺めることができます。私は二十五年前、一体何を見ていたのかと・・・恥ずかしくなりました。人の記憶は、いい加減なものですね。

珍しい黄色の木蓮をいけ献華をしたあとは、念願の茶店にも立ち寄り、わらびもちをいただきました。二十五年間、日本に於いて社会的にも経済的も色々なことがありました。いい時もそうでない時もありました。また私自身にも、色々なことがあったように感じられます。けれども、それでもこうして同じ場で花をいけることができるありがたさを感じています。また二十五年前と同じようにわらびもちを食べ、喜んでいる自分がおかしな気もしますが、これも嬉しいことと思っています。

タイムリーからは少し時間が経ちましたが、そんな懐かしさや思いを込めた今回の献華の模様。見てくださいね。

日傘

日よけのためにとの和傘。白と赤のコントラストがきれいですね。お寺の方の優しい心遣いを感じます。牡丹もいろいろな色が沢山咲いていました。

しゃが

境内ではしゃがを始め、様々な花が咲き誇っていました。

献華光景

いけるときは真剣に・・・この黄の木蓮がきれいで、思わず選んでしまいました。葉も薄い黄緑でさわやかです。

記念撮影

全員で記念撮影。旗手の方も頑張って持ってくれています。奈良県の生成には献華で本当に度々お世話になりました。毎回、ご準備・打合せ・付添など、本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです。

茶店

実はとっても有名な茶店。内は畳み敷きです。風情がありますね。

茶店

内は色紙が沢山。それぞれの旅の思い出が。

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