池坊青年部

「いけばなの楽しさや魅力をもっとたくさんの人に伝えたい」「もっといけばなを地域に広めたい」。
そんなあなたの思いを、同じ池坊いけばなを学ぶ仲間と一緒に、日本の伝統文化である
いけばなを広めていくお手伝いをしていきませんか?こちらでは青年部の活動をご紹介します。

青年部について

  • 池坊青年部
青年部では、次代の池坊を担う人材の育成と資質の向上を目的としています。全国にある各支部に所属する青年部の会員同士が親睦を深め、交流しながら、池坊人としての必要な基礎教養や技術を習得しています。
部員数は地域により異なりますが、数十人で活動しています。設立数十年の青年部や、活動を始めたばかりの青年部と様々ですが、柔軟な発想で池坊いけばなの普及振興に努めています。

青年部代表 池坊専宗からのメッセージ

池坊にはIKENOBOYSというグループがある。花を生けるメンズ、”生けメン”集団のことだ。その陰となりあまり目立たないが、副題として”IKEBANA’s evangelist”と付されている。
evangelistとは伝道者、古くは「幸せな知らせを持ってくる人」の意である。その副題を見て、彼らが一時の需要に応えるための存在でなくその本来的な意味を付与されていることに安堵するとともに、翻って私たち花を生ける者もそうでなければならないと気持ちを新たにしたものだ。

華道人口はこの数十年、減少の一途を辿っている。翻って日本を見ると、これほどまでにあらゆるものが手に入り、一日を目まぐるしく過ごす世の中はこれまで訪れなかったのではないか。末世の感あるこの世において、花を生けることの意味は室町時代の荒廃した時代と並ぶほど高まっていると感じる。かつての日本に戻ることのないのと同じように、いけばなのかつての光景が再び訪れることはない。社会が、人が恐ろしい速度で変容し続ける中で、池坊もその内実において変わるべきところは変わり、変わるべきでないところは変わるべきでないのだ。それは500年、1000年という時のスパンにおいて。

きっと、私と同じ世代の池坊を学ぶ皆さんにはそれほどの悲壮感はないのではないか。かつてのように猫も杓子も伝統文化に嗜んでいた世代ではないが、彼ら彼女たちは花を生ける意味に気づき始めている。
花を生けることを愛する人々またはこれから愛し始める人々すべてに向けて私の心が向いていることは言うまでもないが、私が池坊青年部代表となったのは一つの契機であり、これからの残りの人生をともに生きる仲間として、この困難と喜びに満ちた石積みをともに一つずつ進めたいと思う。

必要なのは自分の心の微かな声に耳を澄ませることであり、草木と触れ合う喜びをまだ見ぬ隣人へ伝えていくこと。私がそのようにされ、そしてそのようにするに至ったように。たとえ今はいけばなを習い始めて数回だとしても、あるいは長くしているものの心の躊躇いがあって踏み出せないとしても、花を生ける喜びを知った以上それを伝えていくことをともに求めたい。
それはあなた自身の喜びとなり、意味となっていくはずだ。一人ひとりの静寂、すこしの勇気、そして人との交わりが豊かな道へと続いていくことを信じて。
2023.7

プロフィール

池坊 専宗(いけのぼう・せんしゅう)
華道家・写真家

華道家元池坊の四十五世家元池坊専永の孫として京都に生まれる。母は次期家元の池坊専好。慶應大学理工学部入学後、東京大学法学部入学。東京大学卒業時に成績優秀として「卓越」受賞。東京日本橋三越本店・京都高島屋などでいけばなを多数出瓶し、並行して祈りの展示「MOVING」を JR京都伊勢丹で行う。自分のいけばなを撮影し写真としても表現。京都現代写真作家展新鋭賞受賞。講座「いけばなの補助線」やデモンストレーション、メディア出演や文筆など様々な形で、花を生ける意味を伝え続けている。信条は「光を感じ、草木の命をまなざすこと」。

青年部の活動

旧七夕会での境内での合同制作展示や、地元で開催されるイベントやボランティア活動に参加するなど、いけばなを通じて様々な場面で地域のみなさんと親睦を深めています。
  • 短冊を使っての大作展示
    テーマは「飛翔」全国から集まった願い事が書かれた短冊を使っての大作展示。
  • 「わ のちから」をテーマに5色の輪を使った作品
    「Departure(出発)」をテーマに5色の輪を使った作品を境内に展示。
  • 商店街でのストリート花展
    地元商店街でのストリート花展を開催。お買い物途中の方にも見ていただくことができ、好評でした。