令和7年度 旧七夕会池坊全国華道展を開催しました
華道家元池坊では11月12日から17日まで旧七夕会池坊全国華道展を開催しました。期間中、展示替えを行いながら延べ約950点のいけばなを展示しました。
京都では来年、後水尾天皇が二条城へ行幸した寛永行幸から400年を迎えることから、寛永文化に注目が集まっています。後水尾天皇が宮中で開催した「七夕立花会」が旧七夕会のルーツであり、池坊は寛永文化を代表する「立花」の伝統を受け継いできました。今年はその原点に立ち返り、テーマを設けず、伝統と格式ある花展を展開しました。
今年も11月12日から17日まで大丸京都店6階 大丸ミュージアム〈京都〉、14日から17日まで華道家元池坊で開催されました。
初日の12日には大丸でオープニングセレモニーが行われ、華道家元四十五世池坊専永家元、池坊美佳審議役、池坊雅史事務総長、池坊専宗青年部代表、来賓として大丸京都店松本剛朗店長が出席され、事務総長および松本店長からごあいさつがありました。その後、会場内の全作品の巡視が行われました。
大丸会場では、橘紫幕が張られた入り口を入ると、全体を見渡せる開放感にあふれた会場構成となりました。
宗匠は『春を待つ桜』と題して、樹齢400年のしだれ桜、松などを用い、間口4.5メートルの空間に立花新風体を出瓶され、「役目を終えた古木の命がよみがえるよう、春を待つ秋の桜を表現した」と話されました。
次期家元は黒の背景に多くの綿花を配し、綿花から紡いだ糸を左右に渡した大作自由花。関西万博で副会長を務めた経験から「万博を通して私たちはつながりの中で生きていることを認識した。さまざまな縁が続いていくことを願って制作した」となどと話さました。
青年部代表は、天井から和紙状のシートを何枚も吊るした白色の印象的な花席に、さりげない草木を用いたいけばなを展示。期間中、花材を変えて3回いけ替えられました。
14日からは池坊会場が始まり、9時からおこなわれた開会式では、次期家元、来賓の都倉俊一文化庁長官、西脇隆俊京都府知事、松井孝治京都市長からごあいさついただき、次期家元は「花展を機に多くの方が花をいける喜びや命を思う大切さ、人と人が触れ合う意味を考え、いけばなが希望の一助となれば幸いです」と話しました。その後、来賓の方々および、家元、次期家元によるテープカットが行われました。
家元道場には、家元、次期家元、審議役、青年部代表はじめ華道家元池坊名誉教授、池坊中央研修学院教授、研究員、華﨟職、(一財)池坊華道会役員らのいけばなが展示されました。
宗匠の書と画「秋聲」が掛けられた家元花席に宗匠は前期はレリア、ギョリュウ、マユミの生花新風体をいけました。
若宗匠は、タニワタリの木、ナンテン、ヘリコニアなど(前期)、コシアブラ、プリペット、菊など(後期)で立花新風体を出瓶しました。
審議役は、セイバンモロコシ、レリア、フトイ(前期)、ブラックリーフ、洋蘭(後期)で生花新風体を出瓶。
青年部代表は、プリペット、レンギョウ、フジバカマなど(前期)、ケムリソウ、ウィンターコスモス(後期)でいけばなをいけました。
また1階に名誉教授席、池坊中央研修学院教授席、委嘱席を設け、2階は教授席、脚客員教授席、招待席。教授陣は作品にそれぞれテーマを掲示しました。
花展エントランスとなる本館8階は、池坊中央研修学院教授・准教授・講師9名による、水仙を用いた生花の特別展示。7・5・4階は委嘱席。6階は研究員・特別嘱託講師席、学術研究室選抜席、池坊中央研修学院総合特別科選抜席。5・4階の前期に支部選出コンクール席、コンクール前年度優勝支部・優秀者の各席が設けられました。WEST18ビル1階は池坊短期大学学生、池坊保育園児の作品も展示されました。
15日、16日には青年部による境内のいけばな展示がおこなわれました。
16日にはIkenobo花の甲子園2025全国大会が開催され、地区大会から選ばれた13チームが出場、高校華道日本一を目指しました。今年のテーマ「“いのち”をいかす」に合わせて、それぞれの地域の特徴を表現したり、家族や友人などへの思いを花に託して、作品を完成させました。優勝は岐阜県立岐阜商業高等学校、準優勝は久留米工業高等専門学校、3位は安田女子高等学校が選ばれました。
いけばな資料館では14日から17日まで特別展示「友馨 立花の世界 第2章―砂鉢に立つ―」として、三浦友馨特命教授が所蔵する江戸時代の砂鉢56点を展示しました。そのうち1点で二株砂物を披露。会期中には、特命教授による展示解説も行われました。
花展期間中は、両会場ともに多くの方にご来場いただきました。皆さま、ありがとうございました。
※令和8年度旧七夕会池坊全国華道展は2026年11月11日~16日に開催予定です。





























