イベントレポート
2022.02.17

「MIRRORLIAR FILMS Season2」先行上映・舞台挨拶が行われました

華道家元池坊が協力している短編オムニバス映画「MIRRORLIAR FILMS Season2」の先行上映会が2月15日(火)心斎橋パルコ(大阪市)で開催され、監督や出演者、アーティストによる舞台挨拶が行われました。

舞台挨拶には「MIRRORLIAR FILMS Season2」の『インペリアル大阪堂島出入橋』の監督を務められた三島有紀子氏、主演の佐藤浩市氏、「MIRRORLIAR FILMS」プロジェクトのプロデューサーで『The Little Star』主演の山田孝之氏、「Moments of Life」のデジタルアートを制作したビジュアルアーティストの松山周平氏(THINK AND SENSE)、次期家元 池坊専好が登壇しました。

上映会では同映画をモチーフに制作される「Moments of Life」のデジタルアートの発表も行われ、2月26日(土)から華道家元池坊 ホールで上映される映像も紹介されました。

『インペリアル大阪堂島出入橋』の制作について三島氏は「コロナ禍でいろんなことを失っていく中で、小さな光のようなものに触れたような気がして、映画にしないといけないと思って作った作品」「インペリアルから、あるひとりの男の人生が見えてきたらと思い、無謀にも800mに及ぶ11分の長回しをやりたいと思い、これは佐藤浩市さんしかできないだろうとお願いした」と語り、佐藤氏は「久しぶりに自分自身がピリピリするような撮影前だった。三島監督から11分の長回しを明け方4:10の明かりでやりたいとの話で、一発勝負かと」と撮影に臨んだ際の気持ちを語りました。

山田氏は「アクションは二度としないと決めていたのですが、誰にも言ってなかったので今回オファーが来てしまった。すごく嫌だったのですが紀里谷さんの作品だし、頑張るかという感じで。私の俳優人生最後のアクションシーンが見られます」と語り、会場を沸かせました。

『インペリアル大阪堂島出入橋』をモチーフにしていけばなを制作する次期家元は「主人公のネガティブな感情や明日を信じる気持ちなど様々な心の動きを捉えて、生きることの凄まじさと逞しさを植物の持つ個性やエネルギーに重ね合わせて表現しました」と述べ、具体的に「葉っぱが四方八方に広がる竹シャガを交錯させるようにしながら用いて、いろんな思いが交錯して生きていることを表現しました。また真っ赤なヘリコニアは生きることの核と思って用いています。ぜひ実物をご覧ください」と説明しました。

松山氏は展覧会「Moments of Life」について「今回、映画を1つの起点として9組の華道家と9人の映画監督と対話をしていただき、映画をモチーフにしたいけばなを制作していただきます。映画のモチーフやいけばなをいけていく様子を3Dスキャンなどでデータとして取得し、映像化したものを空間全体に投影をして、9個のいけばながある空間の中に9通りの映像空間が広がっていく展覧会になっています」と解説しました。

「Moments of Life」というネーミングについて、松山氏は「映画のテーマが命や生きることなど生命をテーマにしている作品が多いということと、いけばなも命をいけるという共通点があり、命の"ある瞬間"というような意味合いで付けました。華道家によって作品となった後の花にも様々な命の変化があり、映画で語られる命の話も1つの尺があって展開があります。展覧会では様々な命の文脈がその場にミックスされた状態になり、今しかないmomentが生まれる展覧会ということでMoments of Lifeという名前にしました」と説明しました。

今回のいけばなと映画、デジタルアートが融合する新しい取り組みについて、三島氏は「momentという言葉は本当に今回に適した言葉と思います。いけばなも一瞬を捉えるものと思うのですが、短編映画というのも人生のある一時期を描きながら、役者さんの表現力を持って、その人生の前と後を想像していただく作品になっていると思います」と話しました。
次期家元は「伝統文化であるいけばなが、現代だからこそ創出できる新しい姿というのをご覧いただけるのではないかと思います。これはいけばなにとっても大きなチャレンジであり、現代のテクノロジーだからこそ新しい文化が生まれ、古いものも進化していくと感じています」と述べ、佐藤氏は「いろんな形の文化が重なっていく中で、お互いが触発できるのであれば楽しい。映画もこの数十年で変わった。どんどん変革し、いろんな要素を取り入れていけることが面白い」と語りました。

最後に、松山氏は「いけばなも映画もデジタルアートも全部表現だと思います。様々な異なる形の表現で1つのテーマに対して向き合う。それを皆さんに見ていただき、いろんな解釈をしていただく。こういった営みそのものが非常に文化的な営みだと思いますし、こういったことを楽しんでいただくということ自体が非常に価値あるものと思います」と話し、三島氏は「短編というのは余白がたくさんあるものだと思いますので、百人の方が見たら百通りの感じ方があると思います。Moments of Lifeでいけばなやデジタルアートを見ていただいて、ご自身の感じ方と照らし合わせていただいたら、豊かなものが生まれるのでは」と話しました。
佐藤氏は「短編であるがゆえの難しさと面白さ、楽しみ方というのがある。長編であれば語られるはずの人物の背景や設定といったものが短編では省かれる場合もある。その中で皆さんが何を感じどう受け止めるか。あのカットはこういう意味だったんじゃないか、いや、こうだったんじゃないかと大いに語り合ってください」と話しました。
山田氏は今回のプロジェクトについて「今回、阿部進之介、志尊淳、柴咲コウの3人の俳優が初監督に、また様々な方が監督に挑戦しています。スタッフ、キャストはいろいろなの思いがあって参加しています。なぜこの人達がこの作品を作ったのか、なぜ今、これを伝えたいのかと、もう一個先まで踏み込んで観てもらえたら、我々表現者は幸せです」と語り、映画と展覧会をPRしました。

「MIRRORLIAR FILMS Season2」は2月18日(金)から全国の映画館で公開され、「Moments of Life いけばな×映画、アートが融合する 時空間ミュージアム」は2月26日(土)~3月1日(火)華道家元池坊 ホール(京都市中京区)で、また、関連イベントの池坊専宗特別展示「MOVING」は3月2日(水)~6日(日)ジェイアール京都伊勢丹7階で開催されます。

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