イベントレポート
2024.05.29

いけばなの根源池坊展「華の軌跡」を日本橋三越で開催しました

華道家元池坊では5月15日から20日、日本橋三越本店でいけばなの根源池坊展(東京花展)を開催しました。今回は「華の軌跡」をテーマに、池坊専永家元、池坊専好次期家元、池坊専宗青年部代表をはじめ関東甲信越および静岡で活躍する華道家の作品を、期間中に延べ約400作展示しました。初日はテープカットによる開会の後、家元、次期家元、青年部代表による巡視が行われました。

家元作品は「時うつる」として、トショウ、黄金オウバイ、黄金まさきを使用した大作の立花新風体、次期家元作品はカエデ、松、梅花ウツギ、トラフアナナスなどを使った掛けの立花新風体の大作、青年部代表の花席は時間により水滴が落ちる演出がなされ、空間全体をいかしたいけばなが展示されました。

いけばなの花形を成立した順に展示し、その歩みを辿る「いけばなの軌跡」コーナーは、立て花から始まり室町時代に成立した立花、江戸時代に隆盛を迎えた生花が展示され、現代の新風体様式でいけられた立花と生花も展示されました。松やシラビソなどの常緑の木にミヤコワスレやユリなどの季節の草花を合わせた立て花や、シャクヤクやシャクナゲを使った立花など、それぞれの花形にこの時期ならでは花材が巧みに使われ、見応えのあるコーナーになりました。

植物が持ついのちの輝きを表現する「ハナノキセキ」のコーナーは、草花の見せるひとときの美しさに注目し、個々の花のもつ刹那的な美を自由花で表現しました。照明が落とされた展示エリアにはアンスリウムやストレリチアなど個性的な草花を使った作品、スチールグラスやオクロレルカなど葉もの線が特徴的な作品など独創的な作品が並びました。同コーナーにはAwesome City ClubのPORINさんも参加され、カキツバタを使った自由花を展示しました。会場にはPORINさんの作品を見ようとファンの方が来場されたほか、メディアにも多数紹介されました。

青年部花席は、壁にテーマとなる「風の流れるための部屋/THE ROOM FOR THE WIND FLOWING」と記され、天井から大きな布が掛かった会場には、縞フトイやクレマチス、アスパラガスの葉などを使った風を感じさせる爽やかな作品が並びました。

皆伝まで出瓶できるチャレンジ席、学校や伝統文化親子教室などで学ぶ学生の花席も設けられ、日頃の稽古の成果を披露しました。

本館1階ライオン口には東京連合支部による大作が迎え花として展示され、竹とアセビにで構成された中に、オンシジウム、ピンクッションなどがポイントで入った瑞々しい作品が来館者を迎えました。本館6階美術フロアには東京楓支部の小幡紀子支部長と東京花光会支部の川合志津枝支部長が陶芸家の辻村唯氏の壺に、ユリ、アナナス、シャレ木などをいけたスタイリッシュな立花新風体の大作が展示されました。

期間中、2次展には池坊雅史事務総長、3次展には池坊美佳審議役による巡視が行われました。また16日、18日、19日には東京連合支部青年部によるミニいけばなワークショップが実施され、多くの方にいけばなを体験いただきました。

本館6階コンテンポラリーギャラリーでは5月15日から27日、写真家としても活動する青年部代表の初の個展「一粒の砂 記憶 ひかり」が開催され、25点の写真が展示されました。また、1階中央ホールでは5月15日から20日、「池坊専宗が見つめた匠の世界 ~よい使い手 よい作り手」として、青年部代表が京都の伝統工芸品の工房で撮影した写真を展示しました。19日には東京MXテレビのキャスターを務める田中陽南氏による司会で、天野太郎氏(東京オペラシティ アートギャラリー チーフ・キュレーター、学芸部長)とのトークイベントが開催され、立ち見の方も出るなど人気となりました。

期間中、多数ご来場いただき、誠にありがとうございました。

いけばなの根源池坊展は全国で開催しています。

9月11日~16日 松坂屋名古屋店(愛知)
9月25日~30日 岩田屋本店(福岡)

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