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家元・次期家元

2014年6月26日更新

池坊由紀エッセイ|Vol.33 いけばなインターナショナル東京支部例会

池坊由紀連載エッセイ こころのままに。

6月半ば、恒例のイケバナインターナショナル東京支部の例会にお伺いしました。こちらは毎年6月に名誉総裁 高円宮妃久子殿下をお迎えされての例会をされています。 3流派が持ち回りでデモンストレーションを務めており、今年は池坊担当の年となりました。デモンストレーションはあちこちでしていますが、やはり緊張するもの。 今回は池坊ならではの内容を考え、いけばなと他の芸能との関わりをテーマに構想しました。タイトルは「古典との出会い」です。

飛鳥時代建立の六角堂を発祥の地とし、また千年の都であった京都の町中にあった池坊は、いけばなはもちろんのことですが、他の様々な分野の芸能との関わりも見受けることができます。 実はこれは私自身、3月に東北地方における海老蔵さんの舞台で献花をした時に、能と歌舞伎の共演を観ていけばなでも・・・と思ったのがきっかけです。 海老蔵さんの舞台では、能の石鏡と歌舞伎の連獅子が同じ公演内で見比べることができ、同じテーマであっても表現や解釈の異なりが分かり、興味深かったものでした。

さて、私のいけばなバージョンでは、現代から過去にさかのぼることにしました。父・専永宗匠が立花新風体を発表された1999年をスタートとし(といっても、これも現代とはいっても、 すでに15年経過してしまいました。本当に歳月が経つのは早いですね)、器はガラスやFRPという新素材のものを用いました。また、シャンパーニュ地方を巡った思い出を交えながら、 ワインのデキャンタを器に見立てたものなどで、瑞々しい当季の草木をいろいろいけました。

さて、ここからがいよいよです。 中世は日本文化の母胎が誕生した時代ですが、能・狂言等をみると、それらは決して独立して発展したのではなく、相互に影響を及ぼしあってきたことが伺えます。 例えば能。私たちはよく「半蔀」という演目の中で立花をいけます。これには、立花供養という小書がついていて、通常の能ではなく、いわば特殊演出の作品ということを表しています。 源氏物語の夕顔の巻が題材になっているとても幽玄な演目ですが、今回はその半蔀を倉田克史講師に立ててもらいました。舞台によっては演者の方が自ら花を一輪手にされて、挿されることもあるようです。
また狂言からは「真奪(しんばい)」という、立花の中心となる枝を奪い合うという趣向を紹介しました。これはそもそも東山に枝を取りに行くシーンから始まるのですが、いけばな人にとっては、どのような枝ぶりの枝を中心に持ってくるかによって、 その後の配材も大きく影響を受けますし、真の枝が見栄えがいいと作品も格好よく見えるもの。これも、この時期に立花が一般的に流行し、元々演目にあった「太刀奪」を下敷きとして、それが真奪になっても、皆が理解できたということを表しています。
最後は大作自由花。大作はいつも頭を悩ませるところです。限られた時間の中で、また限られた予算の中で、限られた舞台空間上で、どのように魅力ある作品を手際よく作っていくのか。デモンストレーションの最後ですので、 しっかりと締めくくりに相応しい出来栄えが求められます。
池坊の本拠地・六角堂は、「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」という文楽の「六角堂の段」に、その名が登場します。「桂川連理柵」そのものは、年齢の離れた男女の道ならぬ恋というストーリーで、最後に二人は心中へと向かいます。 けれども、六角堂は縁結びの寺としての逸話もありますし、心中に到る男性の妻が夫婦円満を願い、お百度参りする光景として描かれています。

デモンストレーションの最後は、悲しい結末で終わりたくなかったので、六角堂の地面すれすれに伸びた縁結びの柳にちなみ、沢山の柳。そして、この時期最もきれいなバラを、これまた沢山用いました。
竹の直線に対し、自然のまがりある柳、そして色とりどりのバラが対照的です。今回、他の古典芸能との関わりを調べ、まだまだ面白そうなことがでてきそうという感触を感じています。学生の頃、実は卒業論文で近世の俳諧を取り上げ、 京都という地がいかにその中で描かれているかを調べたことがありました。今回は調べ物をしていた、その時の自分を思い出すようで、楽しく仕事ができました。更にもっと掘り下げて調べていくと、いけばな作品もより良いものができるかもしれません。
それはこれから乞御期待ということで、いつの日かいつの日か、お待ちいただければと思っています。

いけばなインターナショナル東京支部例会

夏は緑の美しいもの。そして涼やかな風を伝えたいと思い、鉄線と蒲を取り合わせ、、、昔から着ている青い着物、色が濃いので派手かなと心配しましたが、せっかくなので登場させました。あじさい柄は、この時期ならではです。

いけばなインターナショナル東京支部例会

いける前の方が、なぜか真剣な表情に・・・?これは京友禅を織り込んだ、FRPの器です。紫が深いので黒っぽく見えますが、光を当てると透けて綺麗です。

いけばなインターナショナル東京支部例会

倉田講師には、半蔀の立花をお願いしました。太い木(ぼく)の様子を確認しています。

いけばなインターナショナル東京支部例会

2人の女性の方(小藤さん・中村さん)も、作務姿でお手伝い。花を運んだり、竹を挿したり大活躍でした。本当にありがとうございました。

     
いけばなインターナショナル東京支部例会

完成した半蔀と大作自由花です。広い舞台のように思いましたが、こうした作品が2つ入ると、そんな感じがしなくなります。イケバナインターナショナル会長よりおはなしがあり、その時の様子です。

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